案件を任せてもらえるようになり、自分の役割が生まれた気がします
――西村さんは、高校時代に電子科で学んでいたそうですが、もともと「ものづくり」には興味があったのですか?
西村そうですね。ものづくりを考えることが好きで電子科を選んだのもあり、回路基板の設計を自分でできる会社であるタイム技研に興味を持ち入社しました。
意外だったのは、設計や開発ってチームで一つのプロジェクトに取り組むイメージだったのですが、タイム技研はエンジニアが各自、いくつかのプロジェクトをメインで担当する点です。
もちろん、上司のサポートやアドバイスはあります。でも基本的には自分で設計を進めていくことになるので、やりがいと同時に「考え抜く力」が求められると思います。
最初の頃の私は、「失敗してはいけない」という気持ちが強すぎて、わからない点があるとすぐに上司に聞いてしまうクセがありました。
でも「もう少し自分で考えてみて」と言われたことがあり、たとえ間違っていても自分の考えを持つことのほうが大事なのだと気づかされました。
それからは、「私はこう考えているのですが、どうでしょうか」というふうに聞くようにしています。
――これまででとくに印象に残っている開発案件を教えてください
西村インターホンなどの通話機能がある製品の回路基板を担当することがあるのですが、「耳で聞く」という感覚的な要素は人によって感じ方がバラバラのため、着地点を見つけるのが難しいなと思うことがあります。
たとえば私が「よく聞こえる」と感じる周波数であっても、年配の方にとっては「聞こえにくい」ものであったり、その逆もあったりします。
「女性が話しても、声の低い男性が話しても聞き取りやすくしてほしい」という要望をいただいたときは、何度も試作を繰り返しました。
でもそんな試行錯誤を経て、お客様からOKをいただいたときの達成感は大きいです。
現在はこうした案件を担当することも増えてきて、以前、社内の人から何気なく「インターホンは西村君だね」と言われたときは嬉しかったですね。
本当にポロっと言われた言葉だったけれど、入社した頃は何もわからなかった自分が、やっと「任せても大丈夫」と思ってもらえたのかな、と。
自分の役割がもらえたような気がしました。
とはいえ、まだまだ知識が浅いので、もっと知識や技術、経験を積んでいきたいです。
上司や部署の先輩を見ていると、こうした引き出しの多さが全然違うなというのは感じます。自分にはまだ後輩はいませんが、いずれ後輩から聞かれる立場になったとき、尊敬する上司のように「この人から学びたい」と思ってもらえるエンジニアになりたいです。